副園長 難波 忠弘
ここ最近の暑さは、夏本番といってもいいのではないでしょうか。気象庁が発表したところによると、6月に2日連続の猛暑日となるのは、1875年の観測開始以来初めてのことだそうです。急激な気温の上昇の中、職員一同で子どもたちの体調に気を配りながら、お預かりしていますが、今後も猛暑日は続く予報ですので、ご家庭でも食事や睡眠が十分にとれているか等、お気を付けいただき、突然やってきた猛暑を乗り切ってまいりましょう。
さて、太陽が照り付ける猛暑の中でも、幼稚園中には元気な声が響いています。
ロータリーでは連日、プールの水遊びで「冷たい!気持ちいい!」とひんやりとした快感を楽しむ子どもたちの笑顔が見られています。
また、今年は園庭の梅の実が立派に実り、子ども達は高い場所に実った梅の実を試行錯誤しながら収穫していました。収穫した実はジャムにしたり、ジュースにしておいしくいただきました。
畑にはじゃがいもがたくさん育ち、年長組の子ども達は、収穫したてのほくほくの新じゃがを、次々と平らげています。
収穫物をどのように食したいか、どのように分け合うかを、まじめに考え合う子ども達の姿を見ると、ここでは、日々の生活の基本が子ども中心である事を改めて感じます。
子ども中心というと子どもたちにとってはストレスがなく、自由気ままに過ごせていると思われがちですが、実はそうでもありません。
自由といっても、皆が好き勝手に過ごしていては社会は成立しません。
そのため、自分の思いと相手の思いが違うことを遊びの中で感じ、自分の気持ちに折り合いをつけることを少しずつ学んでいきます。
児童精神科医の故佐々木正美先生は、著書の中で、「友達に共感できる子ほど、自分を見つめる力も強い」と述べています。さらに「子どもは遊びの中で友達と自分が、意見や考え方が違うことに気付きます。その結果、あるときは自分の意見を押し通し、またあるときは友達の立場や主張を認めて優先させるなど、状況を見つめながら、自分の取るべき態度や役割を作り上げていきます。
このようにして、子ども達は「相手を理解すること」と「自分自身への認識」を深めることを同時にやっていくのです。」とあります。
つまり、友達への共感や理解が深まれば深まるほど、自分のことをよく見つめることのできる子になっていくのです。
現在、世界はVUCAな時代の中にあるといわれています。
VUCAとは、Volatility(激動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)という4つの英単語の頭文字を並べて作られた言葉ですが、まさに人類は今、目まぐるしく変化し、先の見通しのつかない、そしていろいろな考え方などが複雑に絡み合い、何が良くて何が悪いのかの基準も極めてあいまいな状況に直面しているといえるのかもしれません。
このような状況下において、これから先の時代を生きていかなければならない子どもたちが幼少期にどのような心の力を身に付けておくべきかということに関わる議論もとても盛んになっています。
そして、こうした議論の中心におかれているものの一つが非認知能力だといえます。
非認知能力については、次回以降に詳しくお伝えさせていただきますが、OECD(経済協力開発機構)は、2015年のレポートでそれを社会情緒的スキルと言い換えたうえで、「他者との協働」に関わる力、「長期的目標の達成」に関わる力、「感情の管理」に関わる力という3つの要素からなるとしています。
人間社会では一人では生きてはいけません。
幼稚園での生活の間に、様々な人とのやりとりを通して、自分を受け入れられることと、友達の気持ちに共感する経験をたくさん積んでほしいと思います。
7月は、これまでの園生活で、子ども達一人ひとりの中に育ってきた仲間との関わりや園生活の仕方、自分を表現する力をより多様な広がりを持たせていきたいと思います。
7日には「七夕の日」を学年ごとに楽しみます。
そして満3歳児と年少児はお祭りの雰囲気を楽しむはやしっこ祭りがあります。
年中組の夕涼み会は、いつもと全く違う「夕闇の幼稚園」、という状況のなかで子ども達には自分の想像力を大いに働かせてもらい、仲間達と一緒に経験する特別な出来事を楽しみたいと考えております。
ファンタジーの世界の中で遊ぶ経験と言えるのではないでしょうか。
お泊まり会は、説明会でもお伝えしましたように、年長児達が緑豊かな自然のなかで、「自分ですること、仲間と助け合うこと、そして先生や仲間達とたっぷり関わること」をじっくり経験することで、一回り大きく成長することと思います。
園では子ども達の気持ちが、お泊まりに対して、前向きになるように丁寧に関わりながら準備を進めていきたいと考えています。
この1学期、若葉会役員の皆様や、父親会議、サークル活動の皆様には大変お世話になり、有り難うございました。
園生活の子ども達がそうであるように、保護者の皆様もこの間に、多くの方々との触れ合いがあったことと思います。
人と関わることは大変で、苦労がつきものです。
けれど一歩踏み出すことで、人間関係に大きな広がりや強い繋がりが出来ることと思います。
子育ての為にも人と人とのネットワークを作られると、その中で子ども達は育ち合い、社会性が育まれます。
幼稚園では、皆様の園生活をきっかけにした、子育て仲間との良い出会いを応援したいと思います。
そして、2学期もよろしくお願い申し上げます。