4月に入り、一斉に桜が満開となり、いよいよ新しい年度の始まりを感じる中、幼稚園でも「アイアイ(預かり保育)」、「ちいさなおうち」では、既に新しいお友だちも迎え、元気に始動しております。
さあ、令和4年度のはやしっ子たちが、勢ぞろい、泣き顔やら笑い顔がまるで満開の花々のように散りばめられる、にぎやかな幼稚園のスタートです。
お子様のご入園、ご進級、誠におめでとうございます。毎年のことですが、4月の幼稚園は、春の嵐の様、といっても良いかもしれません。
特に新入園のお友だちにとっては、全く未知の世界への一歩を踏み出すわけですから、とてつもなく大きな冒険の始まりです。大人は、これから起きるおおよそのことは想像できるわけですが、まだ、生まれて数年の経験しかない子どもにとっては、「ようちえんへいく」ということは、自分にとって、何の必然性も感じられない流れの中で突然出会う大事件でしょう。
「なぜ?」
「ここはどんなところ?」
「あなたはだれ?」
と次々と襲ってくる不安と疑問の中で過ごす日々が始まるのです。
けれど、来させられることに、幾ばくかの抵抗を感じながらも来てみれば、周りは同じような様子の同じくらいの子ども達ばかり、にこやかに出迎えてくれる大人(せんせい)は、悪い人ではなさそう・・、その上、触ってみたくなるおもちゃや遊具があったり、不思議な生き物がいたり、なんだか楽しそうに遊んでいる子がいっぱい・・・、こんな風に一人ひとりが自分のペースで、自分の目で周りを見て、何かを感じて、自分の中で少しずつ折り合いをつけながら、納得をしていくための時間が必要です。
今は駄々をこねたり、泣いて訴えたりすることしか手立てのない子ども達なのです。
なぜなら、言葉で説明がつかないことばかりだから、または、自分のもどかしい気持ちをまだ伝えられるほどの「言葉」を持ってはいないのです。
初めての場所、初めての人、初めてのこと、との出会いを、大人たちは、焦らずゆっくり見守ってあげましょう。
「幼稚園では、泣いていいんだよ。」と私たちは伝えていきます。
自分の思いを「そのまんま出せる場所」が、お家の次に幼稚園であってほしいと考えております。
進級児のお友だちも、もう幼稚園生活に慣れているから大丈夫、とは簡単にいきません。同じように物事の変化に対して気付き、感じる心が育っているからこそ、不安はあるはずです。
基本的な生活の仕方は分かっていても、仲良しさんと同じクラスとはいかなかったり、慣れた先生の話し方ではなかったり、不安材料はいっぱいです。
けれど、進級児にとって、園生活の経験の中で育った好奇心は、前を向く力を支えてくれるはずです。
今までかかわったことのないお友だちや先生との出会いは楽しみでもあり、新たな刺激を受けることでしょう。
そして、出会いのステップにはお互いの様子をうかがう時間も必要です。
まずは、子ども達が幼稚園に行くのが楽しみ、明日が楽しみ、と思えるような園生活を幼稚園では用意していきたいと考えております。
そして、少しずつ担任やクラスの仲間に親しみをもって関われるようになって欲しい、ありのままの自分を出せるようになって欲しいと願っております。
さて、何事も始めが肝心といわれますが、新学期の初めに保護者の皆様に少しのお願いをしたいと思っております。
それは「気持ちの良い朝」をどのように迎えるか、をご家族で工夫して頂きたいのです。
まず今までより少し早起きをして、朝陽を浴びながら、お家の中の空気を朝の空気と入れ替えてみたり、ついつけてしまうTVをつけないで、お子様に映像は見せないで、朝ご飯をゆっくり食べることに時間を割いたりと、いつものあわただしい朝の時間の過ごし方を変えてみる工夫をしていただきたいのです。
そして、我が子に「はやくして!」と言わない朝を過ごしてみて頂きたいのです。「そんなのむり!」と言わずにチャレンジしてみるのも良いのでは、と思います。お子様の今まで見えなかった素敵な姿に出会えるかもしれません。
我が子もいつもと違うお家の様子に、何かを感じてくれると思います。
4月23日(土)は各クラスの懇談会を予定しております。
未だコロナの影響を受けつつある状況下ですが、感染予防に努め、お子様のクラスの様子のお話や担任の先生と保護者同志の顔合わせをさせていただきたいと思います。
役員決めもありますが、若葉会(保護者と先生の会)の委員さんは、お子様が新しいスタートを切るそのすぐそばで、一緒に園生活の様々な場面を経験し、応援して頂ける立場です。
この2年間は思うように活動が出来ないこともありました。それでも子ども達は、園で保護者の方が何か自分たちのためにやってくれている、そんな雰囲気をどんな小さなことでも感じ取ってくれています。
幼稚園と保護者会が手を携えることで、子ども達の園生活がのびのびと健やかに営まれるようになるとも考えております。
閉塞感に満ちてしまった世の中に、少しでも風穴を開け新鮮な空気を取り込む、そんな保護者会の活動になるように園側でもしっかり関わり支えていきたいと考えておりますので皆さま奮ってご参加いただきたいとお願い申し上げます。
最後に、この一年間のお子様の成長を、保護者の皆様と共に歓びあえるそんな園生活にしようと準備を進め、教職員一同で、保育に力を尽くしていきたいと考えておりますことを申し添え、ご挨拶とさせていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
園長 難波 香織