2023年05月11日

令和5年4月のおたより

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園長 難波 香織


 幼稚園を囲む雑木林には様々な自然木が、私が生まれるずっと前から自生しています。

その一本一本の木の新芽が、それぞれのペースで、柔らかい色の緑の葉を開き始めています。

あと一か月もしないうちに幼稚園は深い緑に包まれていくでしょう。

この園に集う子ども達が、私たちに見せてくれる個性豊かな姿が、のびのびと芽吹いていく、そんな楽しくにぎやかな4月がやってきました。



 お子様のご進級、そしてご入園、まことにおめでとうございます。



 思い起こすと3年前、世界中を不安に陥れたコロナ禍の中で尊い命を授かり、この世の中へ一歩を踏み出した子ども達の入園、また進級する子ども達にとっても、人生の中で、人になるために旺盛に働かせるはずだった「好奇心」を、大切な命を守るためだったとはいえ、強い力で抑え込まれた数年間があったのです。


 その圧力からようやく解放され、日常を取り戻しつつある、そんな新年度を迎えることとなりました。


 私たちの学園では、今までも行政からの要請や指導を踏まえつつ、どうにかして子どもたち同士が、繋がり仲間となり共に創る園生活を営むことが出来るように、あらゆる対策を講じてまいりました。

そしてその環境の中で、子ども自らの興味関心の芽をつぶさず、そんな好奇心の発露から生まれる遊びを損なわないように、行事や日々の保育活動を創り続けてまいりました。

そんな試行錯誤の日々の中で、私たちの保育の方向性はさらに明確になったと考えております。

また、この間に行事を見直すことで、幼児教育にとってより大切なことが見えてきたことも確かです。


 コロナ禍を乗り越え、この先、園に集う子ども達にとって、私たちの幼稚園は、どんな役割を果たすことが出来るのでしょうか。


 園は一人ひとりの子ども達が、自分の足で一歩を踏み出す「場」です。

ここは安心して自分を出し、仲間たちと群れ、もまれ合い、仲間と共に生活を創る場であり、そこから自分が踏みしめる大地、自分の根を張る大地を自らで耕す場でもあるのです。


 一人ひとりの歩み方やペースは様々です。

けれど、私たちの保育で一番大切にしたいのは、一人ひとりの子どもの根っこにある「自ら」という心の在り方に尽きると思います。

これは子ども自身が感じて心を動かす瞬間を大切にするという事です。


私たちの保育の目標である【心豊かに たくましく】をこの園で育っていく子ども達一人ひとりが、自分から伸ばした両手でしっかりとつかむことが出来る様に、この一年、教職員一同で力を合わせ頑張りたいと思います。



 年度を通して保護者の皆様には、様々なご協力やお力添えをお願いすることも多々あるかと思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。



 沢山の問題を解決しなければならないこの世界、私たちの社会の中で、子ども達の存在は希望の光です。


 私達教職員の日々の合言葉「みんなでみんなの子ども達を保育する」を、この園にお子様を託してくださった保護者の皆様にもお伝えしたいと思います。


 目の前にいる我が子は、私たちの未来を生き、未来を創るみんなの子ども達の一人なのです。

みんなでみんなの子ども達を育てていきましょう。

我が子だけがよく育てばよいのでありません。

我が子を囲む周りのすべての子ども達が、みなで育ちあっていく姿を見守りましょう。

ひとりの人格ができるまでには、他者と響きあうこと、関わり合う経験が大切なのです。

そして、子育てを担われているあなたは一人ではなく、子育ては、ひとりだけでがんばることでもありません。

幼稚園を介して、仲間を介して、手を携え合って、子ども達が創る幸せな未来を応援していきましょう。


 私たちはそんな思いで保護者の皆様と一緒に令和5年度のスタートを切りたいと思っております。

posted by 管理人 at 13:47| 園だより