2023年05月16日

令和5年5月のおたより

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副園長 難波 忠弘

 


幼稚園に新しいお友達を迎えてから、3週間が経ちました。


先日、れんらくアプリで配信した動画では、まだ幼稚園に慣れていないお子様の様子をご覧いただいたと思いますが、ここ最近は、登園してからお帰りをするまでの一連の生活の流れにもだいぶ慣れてきました。

登園した証となるシールを出席ノートに貼り、上履きの履き替え、外へ出かける時にかぶるカラー帽子の扱いも、少しずつ身に付いてきているようです。


園庭に目を移すと、砂場で砂山をつくったり、料理をしたりと、年中長の子ども達に混ざって、新入園児達の姿も多くみられます。


園庭にシャボン玉コーナーを出せば、次々と子ども達が集まり、あっという間に園庭中がシャボン玉で一杯になります。


アスレチック広場では、ヤギやヒツジに家から持ってきた野菜の端切れをあげていたり、坂を駆け下りたり、駆け上ったりと全身を使って遊んでいます。


保育室でもままごとや、お絵かき、ブロック、積み木と、様々な場所で、興味の赴くままに遊び始める子ども達がいます。


幼稚園中のあちらこちらで、子どもと子どもの自然な関わり合いが生まれ、どの子も他者の存在を意識しながら、園生活を始めています。


幼稚園という環境で、一人一人が自分なりに居場所を探索し、自分なりに興味を持ったものや人と関わろうとする様子が見えます。


一方で、人の心は複雑なので、その複雑な心情を持つ者同士が偶然の出会いの中で関わり合うことは、そう簡単にはいきません。


お友達に対して「貸して」や「ごめんね」が言えるように、というようなワンパターンの指導で言葉や行為を子ども達に身につけさせるだけでは、自然で豊かな関りにはならず、むしろコミュニケーション力は乏しくなってしまいます。


園内で過ごすうちに、友達の遊びや行為に興味をもって、模倣したり、その楽しさを共感し合うことで心がつながった喜びを知ること、反対に友達とトラブルになることなど、思い通りにならないことを通して、少しずつ成長し合います。


また、コミュニケーション力には他者を見ること、知ろうとすることなど、主体的で対話的な関わりが必要になってきます。


そのため、私たち保育者が子どもとの間で、対話的な関わりをすることで、子ども達のコミュニケーションを育むように援助を行います。


私たち保育者は、もう少し時間をかけて、子ども達の「はやし幼稚園」で過ごす時間と空間が、一人ひとりにとって「自分のもの」になるために、じっくりと関わっていきたいと思っています。


まずは、子ども達一人ひとりが、やってみたいことに目が向く事、そのやってみようとする気持ちを丁寧に受けとめながら、子ども達に「幼稚園は楽しい」と感じてほしいと願っています。



さて、新しく入園された方も多いので、ここからは子ども達の「遊び」について考えてみたいと思います。


当園の教育目標にも掲げている通り、幼児期の生活を通して子ども達に身につけてほしいことは、どれも全て「遊び」を通して子ども達の力となると考えています。


遊びと言うと大人の方は娯楽やレジャー等を連想し、学校教育においては、あまり良い印象を持たないようですが幼児教育の世界では、実は非常に重要なテーマなのです。


子どもにとっては、生活そのものが遊びであり、与えられたり、やらされたりすることは私たちの言う「遊び」ではありません。


自分で選択し、自らやろうという、意志がそこに働かなければなりません。

この意志を育てることが生きる力につながるのです。


そこには関わりあう仲間がいて響きあう感性があります。

だからこそ子ども達は、育ち合います。


我々大人は外見や出来上がりに惑わされてしまい本質を見失いがちです。

保護者の皆様におかれましても、わかりやすく、見えやすい結果だけに目を向けるのではなく、そこまでの過程や心の育ちを見ていただきたいと思います。



さて、うさぎ教室を除く保護者の皆様には家庭訪問を実施させていただいておりますが、家庭と幼稚園がしっかりと、手を携えて子ども達を見守っていきたいと考えておりますので、ご協力宜しくお願い致します。


 また、過日の身体測定、クラス懇談会には、多くの保護者の皆さまにご協力頂き、滞りなく行うことが出来ました。


 また、新年度の若葉会役員にご協力頂きました皆さまには、心よりお礼を申し上げます。

これからの1年間、皆さまとしっかり連携を取りながら、子ども達の園生活がより充実したものとなる様にしていきたいと存じます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。
posted by 管理人 at 11:57| 園だより

2023年05月11日

令和5年4月のおたより

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園長 難波 香織


 幼稚園を囲む雑木林には様々な自然木が、私が生まれるずっと前から自生しています。

その一本一本の木の新芽が、それぞれのペースで、柔らかい色の緑の葉を開き始めています。

あと一か月もしないうちに幼稚園は深い緑に包まれていくでしょう。

この園に集う子ども達が、私たちに見せてくれる個性豊かな姿が、のびのびと芽吹いていく、そんな楽しくにぎやかな4月がやってきました。



 お子様のご進級、そしてご入園、まことにおめでとうございます。



 思い起こすと3年前、世界中を不安に陥れたコロナ禍の中で尊い命を授かり、この世の中へ一歩を踏み出した子ども達の入園、また進級する子ども達にとっても、人生の中で、人になるために旺盛に働かせるはずだった「好奇心」を、大切な命を守るためだったとはいえ、強い力で抑え込まれた数年間があったのです。


 その圧力からようやく解放され、日常を取り戻しつつある、そんな新年度を迎えることとなりました。


 私たちの学園では、今までも行政からの要請や指導を踏まえつつ、どうにかして子どもたち同士が、繋がり仲間となり共に創る園生活を営むことが出来るように、あらゆる対策を講じてまいりました。

そしてその環境の中で、子ども自らの興味関心の芽をつぶさず、そんな好奇心の発露から生まれる遊びを損なわないように、行事や日々の保育活動を創り続けてまいりました。

そんな試行錯誤の日々の中で、私たちの保育の方向性はさらに明確になったと考えております。

また、この間に行事を見直すことで、幼児教育にとってより大切なことが見えてきたことも確かです。


 コロナ禍を乗り越え、この先、園に集う子ども達にとって、私たちの幼稚園は、どんな役割を果たすことが出来るのでしょうか。


 園は一人ひとりの子ども達が、自分の足で一歩を踏み出す「場」です。

ここは安心して自分を出し、仲間たちと群れ、もまれ合い、仲間と共に生活を創る場であり、そこから自分が踏みしめる大地、自分の根を張る大地を自らで耕す場でもあるのです。


 一人ひとりの歩み方やペースは様々です。

けれど、私たちの保育で一番大切にしたいのは、一人ひとりの子どもの根っこにある「自ら」という心の在り方に尽きると思います。

これは子ども自身が感じて心を動かす瞬間を大切にするという事です。


私たちの保育の目標である【心豊かに たくましく】をこの園で育っていく子ども達一人ひとりが、自分から伸ばした両手でしっかりとつかむことが出来る様に、この一年、教職員一同で力を合わせ頑張りたいと思います。



 年度を通して保護者の皆様には、様々なご協力やお力添えをお願いすることも多々あるかと思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。



 沢山の問題を解決しなければならないこの世界、私たちの社会の中で、子ども達の存在は希望の光です。


 私達教職員の日々の合言葉「みんなでみんなの子ども達を保育する」を、この園にお子様を託してくださった保護者の皆様にもお伝えしたいと思います。


 目の前にいる我が子は、私たちの未来を生き、未来を創るみんなの子ども達の一人なのです。

みんなでみんなの子ども達を育てていきましょう。

我が子だけがよく育てばよいのでありません。

我が子を囲む周りのすべての子ども達が、みなで育ちあっていく姿を見守りましょう。

ひとりの人格ができるまでには、他者と響きあうこと、関わり合う経験が大切なのです。

そして、子育てを担われているあなたは一人ではなく、子育ては、ひとりだけでがんばることでもありません。

幼稚園を介して、仲間を介して、手を携え合って、子ども達が創る幸せな未来を応援していきましょう。


 私たちはそんな思いで保護者の皆様と一緒に令和5年度のスタートを切りたいと思っております。

posted by 管理人 at 13:47| 園だより