
副園長 難波 忠弘
気持ちの良い秋晴が続き、子ども達は頭も身体もすべてを使って思う存分遊んでいます。
最近は、園庭にある柿の実取りに夢中です。
初めの頃は柿の木に登って手に届く範囲の柿を取るのですが、それが難しくなると、お友達と協力し合って長い棒を持ってきて、その棒を上手く使って取っています。
2歳児や年少の子ども達は、上の学年のお友達の様子をじっくり見ています。
その後、見よう見まねでやるような姿や、年長のお兄さんお姉さんや私に取ってほしいと伝えたりに来ます。
一人一人がその子なりに考え、お友達と協力し合いながら、時には頼り頼られながらの園生活です。
さらに、年長組では、取った柿を1個当たり何人で分けて、何個取ればクラス全員が食べられるのを、食べたい一心でかなり真剣にクラスで考えることもします。
そうした子ども達の生活を見ていると、生活に根ざした遊びには、様々な学びがあるのだな、と改めて実感します。
先日、興味深い記事を新聞で読みました。
日本経済新聞の【信頼できる?揺らぐ協調】という記事(10月30日付)です。
新型コロナウイルス感染症の蔓延が起こり、社会基盤となる協調関係について、対面の機会が減った結果、その協調関係を築くことが難しくなっているという内容でした。
かつては、人々は対話を通して目の前の内面や第三者の評判の情報を日々集めていたのですが、現代ではスマートフォンやネットの普及によりコミュニティーとのつながりが希薄になりました。
そこに新型コロナウイルスが追い打ちをかけたということでした。
しかし、九州大学の橋弥和教授による実験では、生後二歳児以下の子どもは相手が自分に親切かどうかなどに関わらず、誰にでも協力する傾向が強く、1歳半くらいまでの子どもは、相手が知らないおもちゃを指さして「そこにある」と親切に教えるそうです。
つまり、子ども達は生まれながらに他者と関わることに前向きで、未来志向であるということです。
先ほど述べた柿の実とりですが、はやし幼稚園の子ども達はどうでしょうか。
柿を取るために、協力し合い、創意工夫し、意見を出し合い、目標に向かう。
はやし幼稚園の中では至る所で、あらゆる形でこのような遊びを子どもたちが生み出しています。
また、今は泥団子作りも年少から年長まで皆が夢中になっています。
アスレチックの泥がいい、砂はりんりん砦の下がさらさらだ、など子どもたち同士で泥団子づくりに大切な情報が受け継がれています。
これもはやし幼稚園の子ども達だからこその伝承文化ともいえるのでしょうか。
人と人とは本来どうあるべきなのか。
改めて考えさせられますが、少なくともこのはやし幼稚園で過ごす子ども達には、未来を前向きに生きて、他者と協力し合いながら、未来を切り開いてほしいと願い、私達は子ども達と向き合っています。
さて、先日、保育施設代表の柴田愛子先生による子育て講演会を開催しました。
柴田先生はNHKの教育番組やラジオ番組などに多数出演されておられ、幼児教育・保育関連の書籍も多数おありです。
そんなご多忙な柴田先生ですが、いつも当学園講演会では子育て真っ最中の保護者向けに、温かい言葉をかけて下さいます(柴田先生には3年連続お話しいただいています)。
実際に参加された皆様も、心がふっと軽くなり、我が子を愛する気持ちを改めて思い起こさせてくれるお話だったかと思います。
当園では毎年、保護者の方向けに、著名な先生をお招きして、講演会を開いています。
来年度も開催する予定ですので、是非楽しみにして頂きたいと思います。
12月初めに行われる「はばたきの会」は、後日詳細な冊子を配布します。
どの行事にもいえることですが、学年での取り組み方が異なり、年齢なりの成長過程を踏まえ、今どんな経験が次に繋がっていくのか等を考えての行事ですので、お楽しみにして頂ければと思います。
そして、子ども達にとって、大きな楽しみの一つであるクリスマス会があります。
子どもにとって、「目に見えないものを信じる」という経験は、空想や想像の世界を心の内に広げ、更にはその自分の心の内面を見る経験にも繋がります。
子どもはどの子もが、いつも自分は良い子でありたいと願っています。
その思いが願いに繋がることに、意味があるのではないでしょうか。
高価なプレゼントより、大好きな大人達から、そして、目に見ることのできない誰かから「貴方はこの1年間よい子だったね」と伝えてもらえることが、その子の成長を助けると思います。
クリスマス会では、ファンタジーの世界観を作り、素敵なひと時を子ども達と過ごし、楽しみたいと考えています。
最後に、年の瀬、お正月ですが、ご家族が一緒に過ごし、温かい時間を作るよいチャンスです。