
冷たい風が吹き抜ける園庭に、暖かい陽射しが春の気配を運んできているようです。
世の中では、まだコロナウィルスの猛威が収まりませんが、目の前で園生活を送る子ども達の、のびやかに遊ぶ姿からは暗い影などは、みじんも感じられません。
しかし、ここにきて姉妹園では、しばらくの間、休園をせざるを得ませんでした。また当園においても、感染による学級閉鎖を、避けられない状況にあることは、紛れもない事実です。
子ども達にとって、大切な日々を失うことの無いようにしたいと、教職員は頑張っておりますが、教育現場として、また社会的にも現状のコロナ対策の中では、幼稚園として対応の舵取りが、難しくなっていることは、確かです。急なお迎えやお休みのご協力をお願いする際、保護者の皆様には、迅速に対応頂き感謝申し上げます。
さて、そんな中、年長児にとっては最後の大きな行事として、ズーラシアへの卒園遠足があります。この活動は、幼稚園で、今まで主体的に自分たちの生活を創ってきた子ども達が、自分達で遠足の行程を計画し実行する、という行事活動です。まずは、グループ作りから始まりますが、自分で考え、自分の思いを出し合い話し合うことで目的を共有し、自ら行動することで、自己発揮や自信を持つことにつながる活動です。
当日を迎えるまでの準備の過程もとても楽しそうで、わいわい話し合う様子からは,自分たちで、「出来る」という期待感が溢れているようです。これは、今まで子どもの主体性を育んできた園生活の積み重ねがあるからこそ、実行できるのではないかと考えております。
卒園する子ども達にとって、仲間と共に目的をもって協力する喜びや大きな達成感を実感できる、園生活の集大成となるのではないでしょうか。グループで話し合う様子からは、一人一人の意思が明確に感じられますし、相手の意見を聞きながら、グループ全体の考えを調整しようとする様子には、幼稚園生活を超えた先に向かって、確実に成長していくたくましさも感じます。
さて、年中少児の子ども達の様子を改めて見てみると、年中児たちは仲間と群れて遊ぶ楽しさを、多様な遊びの中で見つけています。仲間と響きあいながら、自分たちの遊びの世界を広げ、次のレベルに遊びをステップアップさせているようです。「ひと、もの、こと」すべてに視野が広がり、客観性の芽生えと共に多くのことに気付き、その不思議さや面白さに自ら関わろうとする意欲がぐんぐん伸びています。
年少児たちも負けず劣らず、友達との関りが楽しくてたまらないというように、この一年間で獲得したことばや、表現方法や態度で、友達や先生とやりとりをする様子が微笑ましく、またそこには自我を出したい強い思いも見えるようになりました。
一番小さな満3歳児達は、歩みも立つ姿も、しっかりしてきました。幼稚園の隅から隅までを、すっかり自分たちのテリトリーにして遊びを見つけている様子には、一人ひとりに確かな興味関心の芽が伸びているのを感じております。子ども達にとって、入園してから卒園まで幼稚園で過ごす時間は、あっという間に過ぎていきます。その時間の中で、こども一人ひとりが、どれだけ自分のありのままが出せて、自分の思いを自覚し、思考し、のびのびとそれを表すことができるようになっていくのでしょうか。
それは沢山の個性が集まって出来た「集団」の成長が見られる、年長の3学期の終わり頃に、ようやく確かな手ごたえを感じるのです。卒園していく子ども達には、何事に対しても、時間がかかったとしても、自分で感じ、自ら考えることを楽しめる心を忘れてほしくはありません。
3月はお別れ会がありますが、年中児たちが、中心になって、クラスのお友達やたくさん遊んでくれた年長さんたちとのお別れをどのようにしようかと、考えてくれることでしょう。
進学、進級と新しいことへ向かうとき、不安と期待で子ども達の心は揺れ動くことと思いますが、今まで培って来た楽しいことを見つける意欲が、きっと不安を取り除いてくれることと思います。
さて、この一年間という幼稚園で過ごす大切な時間を、私たち教職員も様々な色糸をつむぐように子ども達一人ひとりの個性と交わり園生活を、送ってまいりました。その個性が重なり合い、彩の美しいタペストリーが今出来上がろうとしております。
縦の糸が子どもであるならば、それを支える横糸は大人たちではないでしょうか。こんな思いでこの一年間を振り返らせていただきましたが、若葉会執行委員並びに様々な役員活動を始め、サークル活動、父親会議の皆様、今年度も制約の多い中でしたが、その時にできることを考え、いつも子ども達のためにご協力いただきましたこと、本当にありがとうございました。
また今年度は、厚木地区父母の会連合会の会長として、くり組の竹林さんには格別の重責を担って頂きましたことに、この場で改めて感謝申し上げたいと存じます。
今年度も、クラスだよりや動画の配信などでできるだけ園の様子を発信して参りましたが、やはり実際に園に足を運んでいただくのが、何よりだと感じております。来年度は、少しでもそんな機会が持てればと願い、希望を持ちたいと思います。保護者の皆様ご支援ありがとうございました。そして令和4年度もご協力の程を宜しくお願い申し上げます。