
5月の中旬は、変わりやすいお天気でしたので、遠足当日はなんとか晴れて欲しいと願う中、3年ぶりの親子遠足を無事終えることが出来ました。会場の荻野運動公園では、子ども達の伸び伸びと活動する姿や親子の楽しげな笑顔が、まるで広い青空と美しい緑の木々に見守られているかのように感じました。
広々とした自然の中で元気いっぱいに戯れる子ども達を温かく見守る大人達、この情景が、とても貴重な時間であったことを、強く感じております。ご協力有り難うございました。
さて、最近の子ども達の園生活の様子を見ると、どの学年も、とても遊びが闊達になってきています。特に雨が続くと、恨めしそうにテラスから雨を眺めている子ども達は、降りが少しでも収まると、瞬く間に外遊びへ繰り出す様子が見られます。
特に小さな学年の子ども達は、
なぜか「水たまり」が魅力的に見えるようで、目をきらきらさせながら、水の中に足を踏み入れるのですが、あっという間に小さな水たまりが池のように広がってしまいます。そのうち裸足になって足の裏で、こそばゆい泥の感触を楽しんでいます。暫くすると、砂場の道具を次々と持ち込んで、遊び始めるのですが、そこには、クラスや学年を超えた「泥んこ遊びの広場」が出来上がります。
感触の気持ちよさや開放的な気持ちをその場で共有する子ども達の中には、頭の固い大人には、決して入り込めない「歓喜の輪」が出来上がるのです。私はそんな様子を見ると、お家の方が洗濯物の多さにお困りではないかと、内心ハラハラするのですが、子ども達の心と身体が伸び伸びとそして大胆に躍動している様子を見ると「子どもって凄い!」といつも感じさせられます。
しかし、昨年から続く、外出規制により、外でのびのびと身体を動かす経験が圧倒的に少なくなっている現状が、子ども達の身体の動きから、見て取れる場面が増えているのをあえてここで、保護者の皆様にお伝えしたいと思います。
園内で起きる怪我の報告をチェックすると、園側の環境設定の改善は当然しなければなりませんが、不可抗力とも言えるようなケースがとても多いのです。
出会い頭にぶつかる。何もないところでも、つまずいて転ぶ。目の前のものや柱にぶつかる。いすに座っているとき、短時間でも姿勢の保持ができない。立っているときにふらふらする。歩く足の運びがバラバラ。総じて顔面にけがをしやすい等々が、目に付くようになりました。
幼児期の子どもにとって、動きたい欲求は心の動きと連動するものなのですが、好奇心と探究心がどんどん膨らむこの時期だからこそ、身体の動きも勢い付き、大胆になっていくのは当然です。けれど、この一年以上続くコロナ下での生活、過ごし方が、子ども達の身体能力の成長に多少なりとも影響しているのかもしれません。小さなテレビやスマホ画面の中を凝視しながらの疑似体験では、視野も狭くなりがちですし、空間認知能力もなかなか身につかないでしょう。
また、一方的に流される受け身の刺激で、画面に引きつけられている状態は、子どもの健康な脳の成長の助けには成りません。環境の教育と言われる幼児教育ですが、この現況を考えると、益々幼稚園の全ての環境を駆使して、子ども達には、大いに身体も心も頭も動かして成長して欲しいと思います。そして、御家庭での過ごし方にも、少しの工夫が必要になってきているのかもしれません。
本格的な梅雨に入ると、お家の中で過ごすことが多くなってくるとは思いますが、例えば廃材で工作をしたり、絵を描いたり、見るなら絵本や図鑑であったり、又は実際の生き物の観察等と、なるべく子ども自身が自ら手を出し、手を加え、工夫したり、考えたりする事で楽しめる時間の過ごし方を、人としての成長の基点である大切な幼児期には、たくさん経験して欲しいと思います。
6月は夏へ向かう季節の変わり目です。自然の変化も大きいので、子ども達にとっては、気づきの季節の到来です。畑で栽培している作物や果樹の実り、小さな生き物の不思議さにもたくさん出会い、子ども達の興味や関心の幅は、ぐんと広がることと思います。その自分の関心のあることを通して、偶然に関わり合った友だちと、物事を共有する喜びを感じたり、または感じ方や捉え方の違いに戸惑ったりを繰り返しながら、自分を知り、他者との違いを認識していく様子が見られるようになるのも、この頃の子ども達です。
どの学年でも、クラスの中や遊びの場面で人との関わり方を、自分なりに学んでいく過程が始まりますので、保育者は個々の思いを受け止めながらも、一人ひとりの様子をしっかり見極めていきたいと考えております。その中で子ども達の間の橋渡し役になったり、少し離れたところから見守りながらも、自分達で気づけるように、ヒントを投げかけたりと、子ども同士の関係性の構築のために、子ども達とのやりとり、対話をたっぷりとしていきたいと考えております。
その為にも、様々な教材、素材に出会い、色々な感触の遊びを通して、より開放的に遊び込める環境を作っていきたいと考えております。どの学年も保育参観がありますが、幼稚園生活が始まって、ようやく2ヶ月が過ぎ、新しい環境に少しずつ慣れてきたお子様の園生活の様子をご覧頂くとになると思います。我が子のありのままの様子は勿論のこと、周囲のお友達との関わり方や活動への向き合い方などを、温かく見守って頂きたいと思います。